第16章 日常
「誰?」
ぽかーんとした私が聞くと、
男性は私を見てぴしっと
姿勢を正した。
「はじめまして、リラン。
ハワード・リンク監査官です。
ウォーカーの監視を任されています。」
ハキハキ喋るなり、
アレンの腕を掴む。
「彼には仕事が山ほどあるので。
これにて失礼します。」
「うわぁっ!リラン!
また、来るからぁぁぁ!!」
アレンが引きずり出され、
病室のドアは閉じられた。
「アレンも大変なんだ.......。
て、何で監視されてるの?」
呆然と見送り、2人に聞いた。
「アレンくんは.......」
「アレンは、ノアの方舟を
操作できる人間だからな。
本来ノアしか使えねぇのに
アレンが使えるもんだから...。
中央に監視されてるんさ」
リナリーは悲しそうに目を伏せた。
ラビはつまらなそうに
頬杖をついて話す。
「おかげでオレもじじいも記録のために
本部漬けさぁー...。
任務行って体動かしてーさ......」
帰ってくるたびにラビがいるのは、
そういう訳だったのだ。
「アレンくんをノアの仲間だと
思っている人までいるの。」
リナリーはため息をつく。
「アレンを敵だと思ってるの!?
そんな人じゃないのに!」
「大丈夫よ。みんなはアレンくんのことを
信じてるし、兄さんもアレンくんを
守ろうと頑張ってくれてるから」
「そっかぁ...良かった」
安心したとき、ドアが開いて
婦長が入ってきた。
「はいはい、包帯を取り替えますよ。
皆さんはご退室ください」
「分かったさー」
「じゃ、また来るわ!」
「またな、リラン!」
.......病室は、またしばらく静かだ。