第15章 ノアとの遭遇、その後
「マディナさん、お世話になりました。
村の人達にもよろしく伝えてください」
リナリーがその場で頭を下げた。
俺がリランを抱き上げて
玄関へ向かう。
広場に出ると、ちょうどモヤシが
ゲートからでてきた。
「リナリー!神田!」
手を振るモヤシに
リナリーが笑い返す。
「神田!リランを早く!」
モヤシは大声で言うと
すぐにゲートへ消えていった。
俺とリナリーがゲートに
足をかけたとき、
「ねえ!あなたたちは...」
マディナだ。
振り返ると、思い詰めたような
顔で俺達を見上げていた。
「あなたたちは、何を守るために
戦っているの?」
俺は肩をすくめる。
「さあな」
リナリーは、驚いた顔をしたあとに
微笑んだ。
「...仲間よ」
明るい一言に、マディナの
顔が緩む。
「頑張って」
優しい顔で笑うマディナは、
母親の顔だった。
俺は少し気恥ずかしくなって
顔を逸らした。
リナリーもくすぐったそうな
笑顔を浮かべる。
「2人とも、何してるんですか?
遅いですよ」
そこに、モヤシが顔を出した。
「ええ、ごめんなさい」
リナリーが謝り、マディナを
振り返った。
「本当にありがとうございました。
さよなら」
「さようなら!元気でね」
別れの挨拶をし、
俺達は本部へ帰還した。