第15章 ノアとの遭遇、その後
~リナリーサイド~
― さすがLv3、強かったわ.......。
倒せたとき、安心して
座り込みたくなったほどだ。
私は、とりあえず息を整える。
― リラン...あのケガで、
大丈夫かしら。
助けに行かなきゃ!
そう思ったとき、
目の前を神田が駆け抜けた。
「か、神田!?」
慌てて呼び止めようとしたとき、
神田の走っていく先に
Lv2のアクマを4体確認した。
「新手のアクマ!?」
驚いて、神田に加勢すべく
走り出す。
「かん...!!.......だ?」
加勢するどころか、
神田はあっという間に
アクマを片付けてしまった。
伸ばしていた手が
空中で勢いを失う。
「えー.......と」
微妙な笑いを浮かべるしかない。
しかし、アクマを倒したのに
神田は厳しい顔で
辺りを見回した。
「チッ、逃げられたか」
不機嫌そうな舌打ちをして、
【六幻】の発動を止める。
私は神田の隣まで寄っていくと、
辺りを見回して首を傾げた。
「逃げられた...?アクマに?」
「ノアだ」
神田が即答する。
私は目を見開いた。
「ノアが!?気付かなかったわ」
悔しい思いが込み上げる。
しかし、逃げられたなら
仕方がない。
「リランは?」
ふと、アクマとリランの気配が
無いことに気付いて
神田に聞いた。
「村人を庇ってアクマに斬られた。
今は手当てされてる」
「...ひどいの?」
一気に青ざめた私は、
神田の返事を聞かずに
駆け出した。
「リランは!?どこにいますか!?」
村人達のもとへ走り、
声は張り上げる。
しかし、村人達は怯えたような顔を
見合せて誰も答えてくれない。
近くにいた男に聞こうと
一歩踏み出すと、
男は後ずさった。
私は、どうしたら
教えてくれるのか分からず
戸惑って立ち止まった。
「彼女なら、今手当てしました。
どうぞ、こちらです」
その時、静かな声が後ろから
聞こえた。
「マディナさん!」
振り返った私は、
マディナの後を追って
民家へ入っていった。
マディナが玄関のすぐ左手にある
部屋のドアを開け、
私に入るよう目線で促す。