第16章 【 12 】意外と頭の良いやつ
洗濯機を回し、その間カツオ君の手伝いをする為 振り向くと、そこにはまだ彼女がいた。
しかし 先ほどの声音とは裏腹に 訝しんでいる顔をしている。
「・・・・・ねぇ!!!」
そんな彼女を気にすることなく、横を通り過ぎようとしたが、バッと腕を掴まれた。
「あなた、本当に男? 本当は女なんじゃないの?」
掴まれた腕がキリキリと痛む。
こいつ、マジ爪伸ばしすぎ...
面倒だがここでシカトすれば肯定ととられかねない。
痛みに顔を歪ませながらも、彼女の方へ向き直り 返答する。
『なんで そう思うん?』
僕がシカトしないことが分かったからか 腕を離した彼女は そのまま胸の前で腕組みをする。
「抱きついたときの感覚っていうの?
景吾部長や侑士先輩とはちがって細すぎるし、全体的な感触が柔らかすぎる。
あと近付いたとき、微かに甘い匂いがした。なんで?」
感触とか変態かwww
って思ったけど 意外と冷静に分析してるあたり、結構頭良いのかも?
なんて 他人事のように頭の片隅で考えていた。
『僕 スポーツ苦手やから 跡部さんや侑くんみたいなカラダにはならへんよ。
アウトドアよりインドア派やから ぽっちゃりもしてるやろうね。
匂いは分からんけど 香水とかは使ってないから、シャンプーやボディーソープの匂いちゃうかな。』
彼女の疑問に答えるも 納得いかない様子。
けど これ以上模索されるのは ゴメンだ。
『会って間もない人間に、あんま失礼なこと言わん方がえぇよ』
じゃ。とでも言うように その場を後にしマネージャー業務へと戻った。