第13章 【10.5】それぞれの世界 ※弱狂愛
***不二視点***
初めて彼、いや彼女を見たのは2学期の始業式。
桃の楽しそうな声が聞こえ、目を向ければ声通りの姿が見えた。
そのとき 桃の隣のに居る彼女を見たのが最初。
それから少しして 偶々廊下でぶつかったのがきっかけで 話しをしたんだ。
何か悩んでそうだったからね。
聞いてみれば 後輩の言動が本気なのか冗談なのかが分からない とのこと。
ここで少し違和感というか 不思議に思ったのは、悩んでる内容が女子っぽいということと、「(後輩の)女の子が」という言葉に戸惑いがみられたこと。
確かに初対面の相手に相談するのに 言い難いところはあったかもしれない。
けれど そういうのではなく、相手を「女の子」と呼ぶことに躊躇している様に見えたんだ。
まぁ 同性に迫られて・・・ってので言い難いから 言い換えた可能もあったかもしれないけれど、その後の会話での様子からしても 同じ男には見えなくてね。
もしかしたら本当は女の子なんじゃ・・・と思うと、何故男のふりをしているのかとか 何を隠しているのかとか 色々気になるのと同時に、彼女のことをもっと知りたいと思うようになったんだ。
だから僕は 彼女の笑った顔も怒った顔も 全ての顔を側で見ていたい。
そして いつか 全てが僕にだけ 向けられるように。。。
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