第6章 その6.深入りしてはいけません
「・・・・・・・えええええええ!?」
驚いて、つい声を上げてしまった。
なななななななんで、なんで私にその話題を振るんですか!ダメですって!また関係ないって言われますって!
「あっは、焦るっておもろー!」
可愛らしい、決して大きくはないプニっとした手をパーにして口元を隠す。
馬鹿ですか!先輩はなんでそんなに馬鹿なんですか!そんなフザケる話題じゃないんでしょ!?それって!
「あ、いや、大野さん私は気にしないで―・・・」
言葉をまだ最後まで言い切る前に大野さんが俯いたまま口を開く。
「ゆずには俺しかいないから、」
その言葉にはゆずさんのことを想う大野さんの優しい気持ちが溢れていた。なのに、大野さんの表情はそうは見えなくて、またいつもの寂しそうな目。
「・・・・・・」
ほら、なんで。
先輩のばか。
大野さんまた空見上げちゃいそうじゃないですか。
悲しそうな顔なんかさせないで。
そんな少しどんよりした雰囲気にも関わらず、また先輩はいつもの調子で喋りだす。