第6章 その6.深入りしてはいけません
「大野さん、いっつも寝てますね。」
テーブルにうつ伏せになって、先輩の隣で静かに寝むる大野さん。綺麗な横顔が少しだけ見える。
「ねえ、寝坊助さんだからねえ。」
そう言って、大野さんの体を揺する先輩。
寝かせてあげればいいのに、可哀想。
やっぱり先輩は鬼だ。
「大野さん、起きてください、
が寂しがってますよ。」
「・・・なっ!ちょっと、頼んでません!」
私を見てニヤつく先輩。
「この人はこういう言い方しないと、
気づいてくれないよ?」
気づいて欲しくありません。
「・・・・・・・が、何。」
ムクッと体をゆっくり起こす大野さんはまだ目覚めてはいないようで、険しい顔をしていた。
「あ、いえ、なんでもないです、」
「なんでそんな眠そうなの、今日。」
私のあとにすかさず先輩が質問した。
「・・・・・・ん、昨日ゆずが」
「・・・・」
寝かしてくれなかったのか、ゆずさん。
やだ、やだやだやだやだ。
大野さんが幸せなら
それで良かったはずじゃないの。