第5章 その5.毎度傷ついてはいけません
「、帰りどこか寄ってかない?」
「あ、いいね。アップルパイ食べたい。」
「はいはい、5個でも10個でも好きなだけ食べていいからね-、大野さん居ないし。」
「有稀さん、さすがの私でもそれは無理ですよ。」
「いや、いける。ならいける。信じてる。」
「なんでよ。」
授業も全て終わり、有稀と二人で学校を出ようと売店を通って帰る途中、外のベンチに大野さんらしき後ろ姿を見かけた。
「あ、大野さんだ。」
「え、どこよ?」
「ほら、ベンチのとこ、」
緑の生えた花壇のある小さな公園のような場所。そこに2つ並ぶベンチに大野さんの後ろ姿を見つける。
「あら、ほんと、よくわかったね。
愛の力は偉大よねえ。」
勇稀の言う「愛の力」についニヤけてしまう。
そうです私、恋してます大野さんに。
あれ、このセリフどこかで言ったような。
いや、忘れましょう。