第3章 その3.素直に信じてはいけません
大野さんが私を見て困ったような顔をした。
「・・・なんで泣くの。」
「も、申し訳なくて」
「申し訳ないなら、もう他の人に俺のことは聞かないで。」
「…は、い。」
「聞きたいことは全部、俺に聞いて。」
大野さんの目が細くなる。また私の好きな笑い方。
「え…」
そんな優しいこと言われたらまた私、
「……聞いていいんですか?」
「うん」
「たぶんうるさい、です…」
「うん、なんとなくわかる。」
「…いっつもくっついてるかも…」
「…うーん、」
「それでも…いいんですか?」
「しょうがない。」
「…」
「何、笑ってんの。」
「あ、いえ、」
嬉しくて、だなんて言えません。