第12章 その12.後ろ向きはいけません
「…ゆ、ずきちゃあん…っ」
「あんたが泣くなよ」
「で、ですけど!」
「ですけどって何。キモいな」
柚希ちゃんが私の頭をグリグリする。
「智、上手くいかないときは、また手助けしてくれる?」柚希ちゃんの質問に大野さんが小さく笑った。
「…良かった、」
「柚希ちゃん…私も」
「あんたには聞いてない」
「…(つ、つんでれ)」
柚希ちゃんがスッキリした顔をして、笑った。
「じゃっ、私行くね!」と背を向けた柚希ちゃんを「ゆず、」と大野さんが呼び止める。
「いつでも、おいで。
俺も、ニノも、も、
ちゃんとここにいるから。」
「…うん!」
柚希ちゃんが今までに無いくらいキラキラ輝いていて、人の成長を初めて見た気がした。