第12章 その12.後ろ向きはいけません
声のする方を向くと、視界に入ってきたのは、大きく手を振り笑う柚希ちゃんの姿。
走ってこちらに向かってくると、
「、あんたもいたの?」と相変わらずなことを言ってくれる。
「ゆず、今日は休みじゃ…」
「うん、お店はね、だから智に用があって会いに来たの!」
自分からフラれに来たのに、やっぱりまだ2人の横に並ぶ姿を見ると、羨ましく思う。
「…じゃ、じゃあ!私はこれで!」とその場を立ち去ろうとしたのに柚希ちゃんから「ちょお待ち」とそれを阻止された。
「…え、なんですか、柚希さん」
「丁度良かった、にもいてもらう」
「ええ!いいよう!私は消えます!」
2人が愛を語る所なんて、
今の私には耐えきれません。
「あんたは居なくちゃいけないの」
「…え?」
「ちゃんと見ててよ、
あんたが動いたことなんだから、
責任もって結末見届けなさいよ」
「…え、あ、…はい」
私が動いた?
一体なんのことだろう…。
言われるがまま、
私はその場に立ち尽くした。