第10章 その10.気付いてはいけません
「あー!リーダー!ひっさしぶりじゃね!?」
相葉くんが満面の笑みでこちらに走ってくる。それは教室走るスピードじゃない、つうの。
その呼び声に大野さんが顔を上げた。
「…相葉ちゃん、…3人とも久しぶり」
「大丈夫?」と潤くんが声をかける。潤くんは察しのいい人だから、深い内容は知らなくても大概理解してくれる。
「ん、大丈夫、ごめん心配かけて」
「ほんと、今の時代携帯とかあんだから
そのフラッとどこかに行っちゃう癖やめてよね」
と翔ちゃんが優しく笑った。
「あ、携帯……家に忘れた」
「もお~!そんな連絡取れないと、
ちゃん泣いちゃうじゃん!」
相葉くんがいつもの、あひゃひゃという笑い方での名前を出した。
大野さんとがどうなってるか、なんてそんな状況、俺らは知らないけど、が大野さんを慕っていることくらいは、相葉くんでもわかるみたいだ。
ただなんとなく言ったに違いない相葉くんの発言に、大野さんの視線が俺に向く。
「には
二ノが合ってると思うよ」
みんなの視線が俺に向く、その目は大きく見開かれ、「え、まさかそんな展開?」とでも言うかの表情。
「………はい?」
聞こえた。バッチリ聞こえましたよ。
ただ、あなたの発言が全くもって理解できない。いや、理解はしている、今、理解はした。
でもさあ、それ
口にだして言っちゃいますか?
自分の中の、何かが切れる音がした。