第8章 その8.落ち込むだけではいけません
「………、なんでいるの。」
エプソン姿の大野さんがどちらかというと迷惑そうな顔で私を見る。
「あ、えっと、……てへ。」
「可愛くないからね。」
好きな人から可愛くないと言われました。これってもはや振られたに価する言葉じゃありません?
「こ、珈琲飲みに来たんです。」
「…なに、ブラック?」
「……ホットミルク。」
「……え?」
「あ、暖かい牛乳を「日本訳にしろって言ってる訳じゃないよ。」
なんだか大野さんが冷たい気がします。
「珈琲、飲めないの忘れてました。」
「まじで?」
「まじです。」
「帰ろうよ。」
「ホットミルク!」
「ありません。」
「…(ま、負けるな私。)」
「もうすぐゆず来るから帰った方がいいんじゃない?」
「………、」
大野さんも柚希ちゃんの私に対する違和感を感じているんだろうか。
「いえ、大野さんに昨日の話、聞くまで帰りません。」
「……さあ、なんで俺に関わるかな。出来れば放っといてほしいんだけど。」
本当に迷惑そうな顔をして大野さんがため息をついた。私は間違っているのだろうか。ここで怖じけづいて帰った方がいいんだろうか。
これ以上、大野さんに嫌われていいんだろうか。