第7章 No.6
風呂に入りながら少し昔の事を思い出した。
俺は アイツを知ってる。
無邪気に笑うアイツを
俺は知ってる
知ってると言っても
俺の一方的。
アイツに話しかけた事もなければ
アイツは俺を見た事もないだろう
俺の事を知っているはずはない
東の海にいた時
6歳くらいのお前を見たんだ。
海軍に連れていかれるところを。
それを 黙って見てる親
なにかが、異様な雰囲気だった。
次にお前を見た時は
一瞬誰だかわからなかった。
酷く疲れていて
まともに歩ける状態じゃない
こんなガキに何してんだって気になった俺は
海軍に乗り込んだ
そこで見たのは
色々な器具に繋がれたユキの姿だった。
苦しそうに 肩で息をする少女。
少女は 覇気を出していた
あの、体中に張り巡らされた器具のせいだろう。
苦痛の悲鳴を上げる、
目は黒から赤に変わり
暴走しているように見えた
海軍が、少女を押さえつけ用としたその時
少女はその紅く染まった目を海軍に向けて
覇気を解き放った
フラフラと歩いてバタッと倒れたアイツを
俺は外まで 運んでやった。
額に三日月を宿した少女。
アイツの額を見るまでわからなかった。
大きくなったな。