第4章 夜若との遭遇
不可解なお母さんの言葉に、疑問を持っていると、遅れて運転席に着いたお父さんがニコニコしながら話しかけて来た。
「舞香。ボクが今度改めてお礼を持って行くから、心配しなくていいよ」
「本当!? 良かったー」
「いらぬと言っておるじゃろう」
「お母さん!」
隣に座っているお母さんを咎めるように呼ぶと、お父さんがまあまあ、と私を宥める。
そして、お母さんに向けて穏やかな笑みを向け、口を開いた。
「ふふ。芙蓉。ボクに全部任せておいで?」
「ふん……。そこまで言うなら、任せるぞよ」
しぶしぶ頷くお母さん。
お父さんは、再び私を見てニコッと笑う。
流石お父さん。頑固なお母さんを丸めこむのはお手の物だ。
私はお父さんに向けて「ナイスお父さん!」と呟き、小さく親指を立てた。