第1章 ドクターストップ!
あなたの風邪はどこから?
わたしは喉から。
そんなお決まりの台詞通り、風邪を引きました。
喉は砂漠地帯なほどイガイガして、昨日から咳も出始めた。
腕に触れるとゾクゾクする。首も熱くて、完全に熱がある証拠。
鼻水もズルズルで、ゴミ箱は丸まったティッシュの山が出来ていた。
・・・ちょっぴりエッチだ、なんて思うぐらいには頭もやられているらしい。
薬を飲もう。まずはおなかに何か入れなければ。
しかし家にある食料は大根とか玉ねぎとか卵ばかりで、調理しなければ食べられない材料しかない。
別に味噌汁あたりを作ってもいいんだけど、作るのに必要な調理器具や食器類は全てシンクで眠っており、食器洗いなんてする元気もどこかで眠ってしまっている。
コンビニに行くにしても、ノーブラだるだるパジャマの上に、お風呂に2日入っていない状態で外出するのは、女子としてのプライドが許さない。
・・・デリバリーをご利用しますか。
あたしは携帯電話の通話履歴を開き、1番上の名前をタッチした。