第2章 大好きなクッキー
「ゆうちゃん可愛い」
直樹が私の頭を優しくなでなでする。
うれしい。
直樹の手が、私の髪に触れると緊張が解けていく気がする。
「ねぇ、ゆうちゃんて…俺の彼女?」
直樹がちょっと遠慮がちに私に問いかける。
「うん」
私は肩に頭をのせたまま頷く。
「うれしい」
直樹がうれしそうにちょっと笑う。
私もうれしい。
「うん。だいぶ落ち着いた」
私は身体を離す。直樹の顔を見る。
うん、見れる。
私は直樹の顔を見て笑う。
直樹もニッコリ笑い返す。
「それ食べたい」
私は床に置いたクッキーの箱を指差す。
「うん」
直樹が箱を取って私に差し出そうとする。
「食べさせて」
私はおねだりする。
「うん、いいよ。特別に甘いのを選んであげる」
直樹が一枚、クッキーを取り出して、唇の前に差し出す。
私は直樹の指から、パクッてクッキーを食べる。
……。
あまい
甘くていつもと同じ味。
「おいしい?」
直樹が私に問いかける。
「おいしい。大好き」
私は笑顔で答える。
直樹もうれしそうに笑った。
fin