第2章 大好きなクッキー
帰り道を直樹と2人で帰る。
泣きそう…ってこともあって、私は何も話せなかった。
直樹も何も話さなかった。
でもそれで大丈夫な気もした。
直樹と繋いだ手は気持ちよくて優しかった。
うちのマンションの近くで手を離す。
近所の人に見られるかもだから。
直樹は私の顔を見てニッコリ笑う。
私も…笑い返すけど、上手く笑えたかな?
直樹の家の玄関に入る。
直樹がそっと私を抱きしめる。
「ゆうちゃん、好きだよ」
耳もとで直樹の声が聞こえる。
あったかい…というより熱く感じる…直樹の身体。
「私も…私も好き。直樹…」
「うん…」
直樹は私の頭を軽くなでなでする。
そして手でそっと私の頬に触れ、持ち上げる。
目を閉じると、唇と唇が触れた。
……。
こうやって改めて並ぶと、やっぱり直樹のほうがちょっと背が高いんだなぁ、なんて思う。
唇が離れる。
寂しい。でも直樹の顔を見て、ちょっと微笑む。
「勉強教えてくれる?」
直樹もニッコリ微笑む。
「うん」
私は頷く。
…
前してたみたいに、直樹の部屋で勉強する。
けど…
どうしてかな…私、緊張しちゃってる…
しょっちゅうこの部屋に来て、普通にベッドで寝ちゃうぐらいだったのに。
ていうか、だからあんなことになったんだけど…
「ゆうちゃん」
「えっ」
直樹に名前を呼ばれてドキッとする。
「元気ない? お腹空いてるの?」
「…う、ううん。大丈夫」
「俺、ちょっとお腹空いたな。お菓子探してくる」
「そうなんだ。うん。はは…」
直樹が部屋を出る。
はぁ…なんか気をつかわせちゃったかな。