第6章 内密関係
「っるせーよ!殴らねーうちに帰れ!」
「何か…あったんですか?
それとも俺が…。」
「お前は関係ない。だから…っ」
「そんな悲しい顔…しないで下さい。」
栗橋が俺を抱き締める。
気が付いてみれば俺は泣きそうで。
あんなに怒っていたはずなのに。
栗橋の真意が知りたいのに
顔は俯いていて見えない。
でも俺は自分の気持ちが分かっていた。
あの父親の態度。
多分気付かないようにしていただけで
期待していたんだと。
母親が傍に居ない寂しさ。
父親だけが近くにいると。
でも実際は突き放され、
まるで親子ではないかのような拒絶。
苛立ちを優先して寂しさなんて
なかったかのようにいつもしてきた。
だから今回もそうだと、思っていたのに。
栗橋によって打ち砕かれてしまった。
でも、泣く訳にはいかない。
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