第10章 所詮
君にとって私はなんだったのか。
ただの友達?
なら抱きしめたりキスしたりしないよね?
じゃぁ
恋人?
ならきっと付き合おうって言ってくれたよね?
君との関係がわからない
距離の取り方がわからない
君に甘えていいのかわからない
寂しいよ
なんて言ってもいいのかわからない
いつも近くにいた君は今すごく遠くに感じる
ゲームセンターで
得意じゃないクレーンゲームしてたら
横取りして
景品を渡してくれた
別れる前に指輪を渡してきた
あの頃。
君が憎くて憎くて怖かった頃。
私は酷い振り方をして
君を泣かせてしまった
目の前で
いつの泣かない君の顔がくしゃくしゃで
なんだか自然と涙が出てきた
お互いその場で泣きじゃくった
それが最後だと思ってた
しばらく話してなくて
連絡なんかとってなくて
でも。それでも。
君は私の誕生日を祝ってくれて
そこからまた二人の道は開いたような気がして
でも私を大切にしてくれる
そんな人がもういて。
裏切れなくて泣いて。
夏祭り…
君を待たせて
なかなか君に会いに行けなくて
花火が終わったあと君を見つけた
君の横顔は怒ってて
何度謝っても
きにしてない
ってツンっと言うだけで
でも人ごみの中で
君は絶対に私の手を離さなかった。
その時また君に恋に落ちていたんだ。
なのに。
素直に伝えても届かなくて
もう君は私なんか見てなくて
幼なじみだった関係だからわかる
君はもう振り向いてくれない
笑いかけてくれない
君の夢を見る度涙が止まらない
大好きだった。
愛してた。
もっと早く伝えたかった。
もう。
所詮。
手遅れなんだ。