第3章 待つよ
「紗知、今日は俺とデートしよーよ」
「大樹と?」
「ダメ?」
「いいよ」
紗知は中3になった。
「少しでも大人の女性になりたい。」
中1の頃から変わらず思っている事で、
今はそれを叶えるため、
毎日男子とデートしている。
背伸びのしすぎとか思うこともないことはない。
でも、これくらいしないと陸さんには並べない。
「紗知って普段なにしてんの?」
「普段??…わかんない」
「んだそれ笑」
「メイクとか遊んでばっかり」
「受験生なのに?」
「志望校、余裕だから」
「万が一とか考えないの?」
「うん」
紗知はだいたい学年順位一桁なので
成績には問題ない。
「あ、こんな時間だけど」
「9時かぁ…帰る?」
「なんで?ホテル行こうよ」
「は?やだし。」
「なんで?」
「初めては好きな人って決めてるから」
「えっ紗知って処女なの?」
「当たり前じゃん」
「え……そーなんだ」
「なんで?」
「いや、デートしてるやつ全員としてんのかと
おもってた笑」
「んなはずないじゃん。
決めてる人がいるから」
「ふーん…」
なんで…?
なんでこんなことになっちゃったの…?
「ほら、身体ひらけよ」
「いやっやめてよっ!ねっ大樹!」
「デートしといて手ださねぇとか
ありえなくね?笑」
「やめてよっ!嫌だ!」
「やめるとか無理かな」
紗知は帰宅中、大樹に襲われた。
「大樹っ!ダメ!」
「すぐ気持ちよくなるよ」
大樹は紗知を地面に押し倒す。
もう嫌だっ
誰か助けて…
処女奪われちゃう…
陸さんっ!
「紗知?」
「え…?」
大樹が胸を揉み始めた瞬間、
大樹の背中に人影が見えた。
誰…?
「紗知、なにやってんだよっ!」
「お、お兄ちゃん!?」
「えっ?!」
大樹は驚いた声を出してそのまま立ち上がり
この場を去った。
「お、お兄ちゃん…」
「大丈夫か?」
「うん…お兄ちゃんなんでここに?」
「塾帰りだよ」
「そか…」
「とにかく、迎え呼ぶから」
「いや!お願いお兄ちゃん!呼ばないで!」
「でもなぁ紗知」
「お父さんにもお母さんにもこの事内緒にして…」
「は?」
「心配、かけたくない…」
「ーっわかったよ」
「ありがとう」