第2章 ミラクルとハプニング
人気のない場所まで来ると一気に脱力し、膝から崩れ落ちた。
「はあ…。」
影山、気付いちゃったかな。あたしが黒蝶だってこと…。いや、でも、単純だし!鈍感だし!
「気付かれてない…よね…?」
「何をだ?」
半ば怖いもの見たさで振り向くと、影山の姿が目に映った。まさか、全部見てた?聞いてた?
「お前さっきから何か俺に隠してねえか?」
きた…きてしまった。投げかけられた質問に、うんともすんとも言えないあたしを見て、痺れを切らした影山は…
「そんなに俺に言えない事なのか?」
純粋な瞳に心が揺らぐ…。その眼には心配も滲んでいるように思えたからなおさら。
"あなたが考えてる程相手が深刻に考えることはないと思うけどね。"
佐川先生がくれた言葉が蘇る。
影山に真実を語ったらどんな表情(かお)をするだろう?軽蔑されるかもしれない。気持ち悪いって言われるかもしれない…。
でも…
このまま黙ってる方がもっと嫌だ…。
真実を話そう。全部、影山に伝えなくちゃ。
ちくっと痛む胸の中で、あたしは決意をあらたにした。