第2章 ミラクルとハプニング

今日は球技大会です。
あたしは中学の時の試合の感覚で、髪を束ねて見ました。ポニーテールなんて久しぶりで、なんか首スースーする…。
そして、肝心の影山はというと……

1人で怖い顔して何やら感慨にふけっております。

「影山、おはよ！」

「あぁ…」

「どうしたの？何か考え事？」

「いや、何でもない。」

全然何でも無くなさそうなんだけど。まぁ、いっか。試合前に深刻になるのも良くないしね。

「影山！ストレッチしよう。あっ、その後はパスねっ！」

「おう。」

取り敢えず、気は紛れたかな。

「ねぇ、影山。」

「ん？」

「勝とうね。絶対。」

「当たり前だ。」

「そういうと思った！」

影山となら必ず優勝できるって信じてるよ。この思いをボールにのせて、届けっ

『ピー！』

「集合だ。行くぞ。」

「うん！」

あたしは一歩を踏み出した。

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いざとなるとやっぱり緊張するなぁ…。こんな時、親友ちゃんの真矢が居てくれたらなぁ…。

「りーん！」

この声は！
あたしの心を読んだかのように、真矢が前方からかけてくる。

「まやー！」

あたし達はひしっと抱き合った。

「真矢〜会いたかったよぉ。あたし、緊張で胸が痛い。」

「凛は緊張してたからなー。いつでも。じゃあ、恒例のあれ、やっとく？」

「へっ？ちょっ、ちょっと待っ…」

バシッ！

「いったぁ…。」

涙目になりながら真矢を見つめる。昔からよく緊張していたあたしの背中をシバいてもらっていたあたしにとっては、ありがた迷惑なのだが…。緊張が吹き飛ぶことは事実なので、試合前は背中が真っ赤になっていたものだ。

「凛はいつまでたっても緊張する癖、変わらないよね。」

笑顔で話してるけど、天使か悪魔かわかんないこの人…。

「癖なんて、中々なおらないよ。」

まだ背中ジンジンする…。どんだけ怪力なのよ…

「それより、誰と組んだのよ？」

真矢の瞳には何か企みを含んでいる気がするのだが、気のせいとしておこう。

「影山だけど…。」

「えっ？！マジ？やったじゃん！ずっと憧れてたんでしょ？」

「ちょっと！声でかいよ。」

「本当のことじゃん？」

ニヤニヤしながらあたしを見てくる。

「そうだけどさ…。そういう真矢はどうなのよ？」