第2章 ミラクルとハプニング
「大した自信だね。けど、素人には埋まらない穴ってあるんだ。まっ、せいぜい頑張りなよ。」
ひらひらと手を振って遠ざかって行った。
「素人ね…」
この時あたしは知るはずもなかった。あたしが黒蝶だということを、あんな形で影山に知られるなんて…。
この日からあたしの特訓が始まった。部活終わり、昼休み、あらゆる時間を活用してバレーをした。けど、やはり、1人練習はメニューが限られてくる。
ある昼休みのことだった。いつものように練習していると…
「おい。」
「はい?」
振り返るとそこには影山の姿があった。
「あれ?影山?どうしたの?」
「ボール。」
「え?」
「だから、ボール貸せ。」
「あ、はい。」
これは練習してくれるって思っていいのかな?
「取り敢えず、パスしてみるぞ。」
「うん!」
あたし、影山とパスしてる。楽しい!嬉しい!
ドキンドキンと鼓動が打ち付けるのに合わせて、あたしは影山にパスを繋いだ。
「おし。これ位にしとくか。」
「うん。ありがとね。」
「別に…。」
もしや照れているのでは?可愛い…。
部活終わりも影山は残って、あたしをしごいてくれた。けど、あわよくばサーブ習いたいななんて言ったら、怒られるかな。駄目元で頼んでみようかな。
「ねぇ、影山?」
「何だ?」
「ジャンプサーブ教えてくださいっ!」
言っちゃった!とうとう言っちゃったんだ。断られたらどうしよう…。
「一回しかやらないからよく見とけ。」
えっ、これはあたしの為に打ってくれるってこと?よし。全部盗めるものは盗もう。
まずは集中して、ボールを真っ直ぐ上げて、踏み切って1番高い打点で打つ。
「俺は見よう見まねで覚えた。だから、お前は俺をまねろ。」
「はいっ!影山先生!」
「ばっ!誰が先生だ!」
また照れた。
キュン…
ん?何今のキュンて…最近あたし、どうかしてるよ。影山と話す度にこういうことが増えてる気がする。
何だろ?
「おい!」
「うあ、あ、はい!」
「時間もねぇんだし、一回だけやってみろ。」
「わかった。」
実はこっそり練習してたけど、一日2、3本入ったらいい方だったんだよね。
「ふぅー」
集中集中。常にこれがラスト一本、そう思え。失敗したらそこで終わりだ。
よし。
キュッキュキュッ
ドッ!
????!!!!?!?!