第2章 ミラクルとハプニング
試合直前、あたしは後半の試合審判をすることになった。今、ド緊張しています。
「潔子先輩!ちょっと、あたしの背中叩いていただけませんか?」
「え?」
「久々で緊張してるので。よくこうして緊張をほぐしてもらっていたものですから。」
「田中と同じこと言うから、凛ちゃんもそっち系かと思った。」
「いやっ、まさか!」
「ふふっ。冗談だよ。じゃ、後ろ向いて。」
バシッ!
「いっ!…」
変わらないなあ。この感覚。痛さで緊張が吹っ飛んだところでいきますかっ!
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「お疲れ〜」
「おお。」
「凛!勝ったよ!俺たち!」
「おめでとう!日向と影山の超速攻凄かったね!」
「あぁ!ギューンて!バーンて!俺、あんなに気持ちよく打てたの初めてだ!」
日向がいつも以上に輝いている。
「はあ。ちゃんと日本語喋りなよ。」
「あっ!ツッキーだ。」
「それで呼ばないでくれる?」
実はあたし、ツッキーって呼んじゃってるんです。何か、もう、この会話何回目?って程…。
「忠も呼んでるからいいでしょ!ねっ!」
「えっ?うん。」
この無茶振りも日常茶飯事なのだ。
「おい、月島。」
いきなり、日向がツッキーに手を差し出した。どうやら、握手を求めている様子。が、ツッキーは手を握ろうとせず、結局日向が無理矢理手を捕まえて握手していた。
「今回は王様が居たから勝ちは譲ってあげたけど、次はそうはいかないよ。」
「その呼び方、やめろっつってんだよ。」
「まっ、まあまあ。それより、次って?」
「クラス対抗で球技大会あるでしょ?」
「あぁ!確かバレーだったね。」
「それで、勝てたらもう、王様って呼ばないよ。まぁ、最も、2人一組でビーチバレー方式だから、王様には無理かもね。」
ふんっと鼻で笑うツッキーに、ムッとしたあたしは
「パートナーならいるじゃん、あたしが。」
「「はっ?」」
影山とツッキーは同時にあたしのほうに顔を向ける。
「だって、同じクラスだし、何か対抗心湧いてきちゃったし?」
「え、何?もしかして自信あんの?俺との身長差分かってる?30センチだよ?」
つくづく、痛いとこばっかりついてくる。でも
「身長なら、影山だって高い。それに、あたしは影山の足は絶対引っ張らない。」