第11章 *温泉旅行で【氷室辰也】*
けどそう思えるのはだからで。
挿れたくなったから早く挿れてしまおう。ではない。
と一つになって、と一緒に味わいたい。
オレ〝自身〟で快感に浸ってほしい。
言葉では表せないくらいに膨らんだこの想いを伝えたい。
その一心だった。
「っ……ハァ………っ」
「やぁっ……声……甘いっ……」
そしてオレの声は熱を帯びているらしい。
それほどとの行為に夢中になっているって事だ。
「今日はいつにも増して余裕なさそうな顔してますよ」とまで言われてしまうくらいに。
鏡がないからどんな顔をしてるかなんて分からないけど……
が微笑んでくれるから……きっと優しい顔をしてるんだろう。
「どうして今…っ、笑ったんだ…?」
「こんなっ、表情にさせられるのは……私だけかもって……思って…っ」
「かもじゃない……だけだよ……」
「へへっ……」
「ハァっ……ちょっと……耳貸してくれるかな……」
「はい…っ」
「聞こえる…?」
「はいっ……はぁっ……聞こえ、」
「愛してるよ……とても……」
こう言ったと同時に中が締まった。
嬉しいんだな。
口では簡単に言えるけど、オレは本気でを愛してる。
だから良いってわけじゃないのに中で果てたオレは、最後にとびきりの愛のキスをに送った。
それはいつまでもいつまでも続いて……
今宵を更に燃えさせるものとなった。
*次へ続く*