第5章 冬の夕空
あのことがあってから、私の頭の中は前にもましてミシェルのことばかりになってしまった。
しかも一人でいるときだけじゃなくて、ミシェルといるときにでも思い出してしまう。
彼の髪、彼の瞳、彼の唇、彼の指……。
ぼんやりとみとれてしまう。
「ん?」
「え? あ、べつに……」
恥ずかしい……。私いまえっちな顔してなかったかなぁ。
「えっと……。冬の夕方、いまぐらいの時間の空ってきれいですよね」
私は窓の前に立ち、カーテンを少しだけ開ける。
「ほら、あのへん。上のほうはもう暗いけど、下のほう、夕焼けが残ってて、透明な、桃色で……」
彼にうしろからそっと抱きしめられる。
「どうした……の?」
「こないだのあれ、またしてもいい?」
「こないだの……あれ?」
「あれ」
「うん……」
彼はうしろから私の服を脱がせる。
「寒くない?」
「すこし……」
「じゃあこっち」
そう言って私をベッドにつれていく。
唇に軽くキス。
そして舌を入れてディープキス。
うれしい……。
彼の……唇が……、舌が……。
好きでたまらない……。
唇を離して彼が言う。
「そんなに僕のことが好き?」
顔が熱くなる。
「ミシェルはキスすると心が読めるの?」
彼はやさしく微笑む。
「読まなくてもわかる」