第25章 大嫌いの裏側(加藤清正)
「お前なんて好きじゃねぇ…三成となんか、滅茶苦茶になっちまえ……」
を押さえ付けたまま小さくそう呟く。
本当はこんな事言いたいわけじゃない、目頭が暑くなる。
「清正……どうしてそんな顔してるの…?」
眉を下げてが俺を見る。
俺は、今どんな顔をしてる?
いつの間にか緩んでいた手をすり抜けてが俺の頬に包むようにして触れる。
温かなその体温に心まで緩む。
目を閉じて、
小さく首を振った。
「、お前が好きだ…」
解された心から漏れた、本音。
恐る恐る目を開ける。
視界に映ったのは想像していなかったの表情だった。
頬を赤くして、驚いた顔で俺を見ている。
「ホント…?清正、ホントに…?///」
「は……?」
「私の事、好きなの…?」
「冗談で…言えるかよ、こんな事……」
次の瞬間、は花が咲いたように笑顔になった。
「嬉しい……」
「え…お前は三成と……」
「うん、付き合ってるよ…フリだけど」
「なっ…フリ…!?」
強張っていた体の力が一気に抜けていく、ついでに頭も冷えていった。
「私…ずっと清正の事好きで、でも自信なくて…そしたら三成が協力してやるって…それで付き合ってるフリをしてもらってたの…試したみたいでごめん」
「あの野郎…」
三成への苛立ちはあったものの、聞き逃しちゃいけない言葉を聞いた。
「今、俺を好きって言ったか」
「うん…好き、清正が好き」
「……っ」
堪らず腕を引いて抱き寄せた。
もう後ろめたさも罪悪感も何も考えなくていい。
そう思うとすげぇ安心した。
「俺もお前が好きだ」
ハッキリとそう口にして、優しく唇を重ねた。
「とりあえず…明日三成を一発殴る」
「えぇっ!?ダメだよ!協力してくれたんだもん、ヒドイ事するなら私にして…!」
「ばっ…馬鹿野郎!!////自分が何言ってんのかわかってんのか!」
「えぇ?…ひゃあっ!」
全くわかってなさそうな気の抜けた返事ごと抱き締める。
「言ったよな、ここは男の部屋だって」
真っ赤になって慌てるをベッドに沈める。
今度は、目一杯優しく。
END