第25章 大嫌いの裏側(加藤清正)
「恋人が出来た」
放課後、珍しく声を掛けてきたと思ったら予想していなかった言葉が三成の口から飛び出した。
「…これで童貞卒業か、良かったな」
「…そう言うことを言ってるのではないのだよ!」
高校最後の夏。
昔からの腐れ縁である石田三成に彼女が出来た。
少しからかうとすぐにいつものように怒りだす。
この後ちゃんと祝福してやるつもりだった、その名前を聞くまでは。
「………は?」
「だからなのだよ」
は正則と同じく昔からつるんでる奴だった。
三成とってそんなに仲良かったのか。
毎日側で過ごしてきたのに、気付きもしなかった。
だがまさか三成と恋人同士になるだなんて思ってもいなかった。
そしてこんな形で自分の気持ちにも気付かされちまうなんて。
「……そうか」
顔に出さないようにそう告げるだけで精一杯だった。
いつからだ?
いつから三成はを好きになっていた?
は?
今更考えても仕方のない事ばかりが頭の中を巡る。
「清正」
「……何だよ」
「帰らないのか?」
「あ?……あぁ…」
ぼぅっとしていた。
既に鞄を肩に担いでいる三成を見て俺も鞄を手に持つ。
帰り道、どんな話をしたのかほとんど覚えてねぇ。
三成とが恋人になった、その事で頭の中はいっぱいだった。
「じゃあな清正」
いつもの十字路に差し掛かって三成と別れる。
「はぁ……」
大したモンも入ってねぇ鞄がいつもより重たく感じる。
どうすんだ、俺。
俺は、
が好きなのか。