第20章 You're the one for me ~third~
「……?」
「あっ…!///いや!えっと…そうだ!今度城に顔出してくれよ!あー…いや、迎えに行く!馬で!なっ?//」
突然慌てふためき出した豊久に驚いたものの、はその申し出に素直に頷いた。
「わしらの前で御誘いとは隅に置けませんなぁ!豊久様!ははっ」
「家久様も天で喜んでますわぁ!なぁ?」
「ちょ…!皆何言ってんだよ!!?///」
村人達に茶化されて益々慌てる豊久だったが、コホンと咳払いを一つして落ち着いて馬に跨がった。
「じゃあ、…またな!」
立ち去る豊久にはもう一度深く頭を下げた。
(豊久様…本当に来てくださった…)
遠ざかる豊久の背中を見つめるの胸に小さな明かりが灯った。
しかし、本人はその事に微塵も気付いていない。
同じ頃、城へ向かう豊久もの事を考えながら馬を走らせていた。
(笑った…!初めて笑った…!!)
胸がポカポカと温かい。
その理由は初めて見せてくれた笑顔がただ嬉しいからなのか、それとも何か違う感情の芽生えなのか。
今の豊久にとっては前者であった。
(、すげー綺麗だった…)
互いの胸に僅かに起こった変化。
それにすぐに気付ける程、二人は大人ではない。
ただ今はじんわりと温かいこの気持ちに心地良さを感じていたのだった。
to be continued…