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戦国夢想(戦国無双3、戦国無双4)

第18章 You're the one for me ~second~


この国が好きだ。
魚も旨い、米も旨い。
民にも活気がある。
民が元気だから国が栄える。

若くして領地を任されたこの若武者はこう思っていた。



父、家久が豊久に遺した教え。



「豊久様!今日も良い魚が揚がってますよ!」

「うちの野菜も今朝収穫したばかりでさぁ、持っていって下され!」

「野菜も魚も立派だな!後で使いを寄越すよ!」


豊久はこうして城下の村をよく訪ねる。
民と気さくに話し、関わり合う豊久に民達もまた親しみを感じていた。

ふと、豊久は思い出したように村人達に話を振る。


「なぁ…皆、このあいだの歌姫…覚えてるか?」

「歌姫…あぁ!あの別嬪さん!」

「なんでも最近家が山賊に襲われたとか…」

「山賊に…?!」

村人の答えに豊久は目を見開いた。
家臣から近頃山賊の良くない話は聞いていたが、思った以上に近い場所での事に驚いていた。

「家族も亡くしたらしいしなぁ…」

「それに喋れなくなっちまったって聞いてますよ、あんなに綺麗な声してたのに可哀想になぁ…」

「…!?」


豊久の頭の中にあの川で出会ったの顔が浮かんだ。
悲しげと言うべきか、儚げと言うべきか。
彼女が見せた顔の意味が漸くわかった。







『御免なさい』









「だから、あの時…石に…」



話せなかった事をきっと自分に謝っていたのだろう。
それでも、思わずにはいられない。


もう一度、あの歌声が聴きたい。

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