第14章 will be there~恋心~(森蘭丸)
姫様は蘭のこの想いにお気付きですか?
それとも昔と変わらず友として接されていますか?
「蘭…?」
気付けば姫様の腕を引き、抱き寄せ包み込んでいた。
「昔のように伝えても良いでしょうか」
「何を…ですか?」
「蘭は姫様が好きです、昔と変わらず…貴女を想っております…」
「……!」
驚いたような表情を姫様は見せた。
抱き締める腕に力を込める。
「姫様は蘭が命に換えても守ります」
「蘭…」
突然体を押し返されたと思うと姫様は近くの大石を指差して言った。
「蘭、あそこに座って」
「え…?」
「髪、結び直すわ」
「いえっ!姫様にやって頂くわけには…!」
「結ばせて頂戴…?昔みたいに」
「…」
押し切られる形で大石にこしかける。
背後に立った姫様はそっと蘭の髪紐をといた。
「蘭の髪は変わらず綺麗ですね、月の光を映しているわ」
「……!//」
姫様の指が蘭の髪を優しくといていく。
心臓が破裂してしまいそうになる。
「蘭…も貴方が大切なのです」
「…姫様!」
「駄目、まだ前を向いていて…」
「…//」
優しく制止され、大人しく振り返るのを諦める。
このまま時間が止まれば良いのに、本気でそう思った。
「だから…命に換えても、など嫌です」
「姫様…」
「蘭には生きて欲しいのです、明日も明後日もずっと…こうして話がしたい、この気持ちが…!何なのかはまだわからないけれど…」
きゅっと髪紐がしっかりと結ばれた事を確認するとゆっくりと振り返る。
「…まだ、振り返って良いとは言っていません」
そこには顔を赤くして目を潤ませた姫様の姿。
もう一度、強く抱き締めた。
「今はそれだけで十分です…蘭はもっと強い男になります故、見ていてください」
「はい…蘭」
いつかこの恋が、愛になるように。
いつかその瞬間を二人で迎えられるように。
真っ直ぐ進んで行こう。
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will be there~恋心~/w-inds.
(あら…蘭丸、良い髪紐ね)
(の、濃姫様!///)
(蘭丸も色気付いて来たのね…あの人に伝えようかしら)
(おっお止めください…!///)
(冗談よ)
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