第12章 hard to say I love you (島津豊久)
「豊久、私っ…!「豊久」
「叔父上!!」
私の言葉を遮るようにして豊久の叔父にあたる島津義弘様が現れた。
「義弘様っ!ご無沙汰しております…」
「あぁ…、久しいな」
簡単な挨拶を済ませると義弘様は豊久に向き直り話を切り出す。
「天下を分ける大戦が始まる」
「天下…」
「我ら島津もそれを見届けに行くぞ、豊久お前も戦に備えておけ」
「…っはい!」
戦と聞いて何処か嬉しそうな豊久に私は不安を感じてしまう。
「姉!話の続きはまた帰ってきた時に聞かせて、俺もっと立派な男になるよ!」
キラキラした瞳で私に言う。
そんな豊久を見てると何も言えなくなってしまう。
心配だとか
行かないでだとか
怖いとか
好きだ、とか
「…うん、わかった」
「……姉?///」
せめてもの思いで豊久を抱き締めた。
(どうか、無事で…)
「行ってらっしゃい、豊久」
「行ってきます!!」
それから一年後、関ヶ原の地にて天下を分ける大戦が始まった。
あの時、気持ちを伝えていればと私が後悔したのは更にそれから一年後の事だった。
END