第12章 hard to say I love you (島津豊久)
本当はいつも心配してる。
貴方はいつでも真っ直ぐにしか進まないから。
「今頃、どの辺りかしら…」
でも私は貴方より年上だから口には出さない。
だって格好悪いじゃない。
「姉ー-っ!!」
「?!」
馬の蹄の音と共に聞こえてくる声。
「うそでしょ……」
「島津豊久っ!戦場より只今戻りましたっ!」
眩しい笑顔を見せて、颯爽と馬から飛び降りた。
そしてそのまま思いきり私に抱き着いた。
「ちょっ…豊久…!///」
「あー!ひと月振りの姉の匂い…」
「やだ!嗅がないでよ…っ」
「ホントは一昨日帰ってきていたんだけど、そのまま会いに行こうとしたら叔父上に止められちゃってさ…体洗ってから行けって」
首もとにグリグリと頭を擦り付けてくる。
あぁ、もう…可愛い……。
豊久が小さい頃からよく遊んでいた私に今でもこうして会いに来てくれる。
そっとその背中に手を回す。
「♪♪♪」
「…怪我しなかった?」
「うん!あ、腕に鉄砲玉が掠めたくらい」
「え?」
驚いて体を離し豊久の腕を見る。
右腕には手当てが施された後があった。
思わず眉を寄せてしまう。
「これくらい何ともないさ!姉の顔を見たら治っちまうよ!」
にかっと笑い豊久はまた私に抱き着く。
「ちょっと…豊久っ!重いよ…」
また、背が伸びたかもしれない。
「好きだよ…大好きだよ!姉」
「……なに、急に///」
「命を懸けて戦っているからこそ伝えられる時には自分の気持ちを伝えようって決めたんだ!」
「豊久…」
私も、伝えなきゃ。
本当は誰よりも大切に思ってるって。
子供の頃から大好きだって。