第11章 誘惑ストラテジスト(小早川隆景)
「貴女に触れて良いのは私だけと、たった今からそうしましょう」
口付けの嵐の後、隆景は涼やかに言った。
「…はぁっはぁ………え?」
「兄様方には私から話しておきます」
「隆景様…どうして……」
驚いて目を見開くに隆景は優しく微笑む。
「その答えは次の機会にじっくりと話しましょう、私も父上の元へ行かなくてはなりませんので」
「…は、い」
「指、お大事に…ではまた」
一人残されたはしばらくの間、放心状態だった。
そしてふと我に返ると一気に顔が火照り出す。
(…た、隆景様に私!!口付けを…!///)
「隆景」
「父上、すみません会議に遅れてしまって」
「それで様子を見に来てみれば…驚いたよ」
「………」
元就に見られていたことには気付いていたが、との口付けを止めなかったのは自分の意思を父にも感じ取って欲しかったからだった。
「隆景、彼女の唇は本当に切れていたかな?」
元就の言葉に隆景は薄く微笑む。
「父上、その事にはどうぞ内密に…」
「やれやれ…そう言うと思っていたよ」
「さぁ、兄様方をお待たせしていますし…戻りましょう父上」
が自分を意識してくれれば今はそれで良い。
心と体を繋げて行くのはこれからゆっくりすれば良いのだから。
「隆景、さま…」
は手に持った本をゆっくりと棚へしまった。
顔の火照りはまだまだ冷めそうにない。
END