第40章 無双学園生徒会執行部。『March』(逆ハー)
「お疲れ様です」
「隆景くん、お疲れ様」
来年度の各部、各委員会の予算振りに一人頭を悩ませていた所に隆景くんが顔を出した。
「どうですか?」
「うん…当たり前だけどどこの部も委員会も予算アップを言ってきてるからね、そこをうまくまとめていくのが中々難しい。でも…」
自分のノートとは別に隣に広げてあるノートへと視線を移す。
綺麗な字で、無駄なくまとめられた過去の予算。
もちろんこれは前会計、もとい三成先輩がまとめた物で。
「何とかなりそう」
仕事は大変だけどこのノートを見てるだけで『頑張れ』って言われてる気がして自然とやる気になれるんだ。
「、何だか頼もしくなりましたね」
「そう、かな…?」
「何かあれば手伝いますから言ってくださいね」
「ありがとう、でも会長も忙しいのに…」
新体制が落ち着く前にと、ここぞとばかりに要望書が届いている事を知っている。
中には色々理不尽な要望書もあるわけで…会長として一枚ずつ目を通している隆景くんは大変だと思う。
「あぁ、それならほとんど終わっていますよ」
「えぇ…?あの量を一週間そこそこで…?」
「まぁでも半分程は…」
ガラガラ…!!
「……隆景」
「おや、おかえり直政」
「何がおかえりだ、こんな役目押し付けといて」
「井伊くん?」
「、コーヒーだ。濃い目の」
「直政、はもう雑務ではないのですよ?」
「あぁ、いいよ!自分の分も淹れるから。隆景くんのも淹れるね」
「すみません、ありがとうございます」
マグカップを出してコーヒーの仕度をする間に聞こえてきた二人の会話によれば、どうやら井伊くんは理不尽な要望書を出してきた人達の元へ行っていたらしい。
突き返すだけに留まらず、相手が言い返せない程に理屈を並べてきたみたい。
新体制になってからのこの一週間、そんな事ばかりしてたからか井伊くんはすっかり『ポスト石田』なんて言われてるのだ。
「新アメムチコンビになりそう、ふふっ…」
ゆっくりとコーヒーをドリップしながら独り言を溢す。
コーヒーの香ばしさが私の鼻を掠めていった。