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戦国夢想(戦国無双3、戦国無双4)

第36章 無双学園生徒会執行部。『November』(逆ハー)


バンッと大きな音がして屋上の扉が開く。
私の目に飛び込んで来たのは、肩で息をしている三成先輩の姿。

私の姿を見つけると駆け寄ってきて、勢いそのままに抱き締められた。



「………見つけるのが遅くなってすまない」

「み、つなり先輩だ…」


まさか、まさか。
本当に来てくれた。

冷え切った体に伝わる先輩の体温と鼻を擽る先輩の匂いが私にこれは現実だって教えてくれる。

「何処も怪我はないか?」

「…はいっ!」

「そんなに泣くな…もう、大丈夫だ」


その一言が壊れかかっていた私の涙腺に止めを刺した。

「…怖かっ、私…誰にもっ…気付いて貰えなかったらって…!!」

「…何処にいようが、俺が必ず見つけるのだよ」


涙を拭ってくれたその指はとても優しくて、私はそっと目を閉じた。

もう一度抱き締められる。

許されるのなら、ずっとここにいたいって思ってしまう。


「三成先輩、私…!」

溢れてくる想いを伝えようとした次の瞬間、







……ドーン!!!


「………花火、」

「」

「ーーー…っ」

空に打ち上がった花火とそれを見上げた私との間に三成先輩が割り込んだ。

あ、

冷えた唇に、温かい唇が重ねられる。

二度目の、キス。

夏休みの時とは違う、それを受け入れようとする自分がいる。
だから、わかる。
触れ合っている唇の熱が溶け合って同じ体温になろうとしている。


「好きだ」

「……!」

「俺の隣にいてくれないか」

花火の光で、先輩顏が見えない。
でもその声色は今まで聞いた事のないくらい優しい。

私も好き。
助けて欲しい時にいつも側にいてくれた三成先輩が好きです。
言いたい事はたくさんあるのに全然まとまらなくて。


私ははっきりと頷くだけで精一杯だった。


それを返事と受け取ってくれた先輩はまた私を抱き締めた。

聞けば、職員室の前を通った時に屋上の鍵が見当たらないとちょっとした騒ぎになっていたらしい。
そこへあの先輩が「鍵を拾った」と持って来た。
それでピンときたそうだ。


「こんな特等席で花火が見れたんだ、やはりお前は運が良い」

そう言って先輩は笑った。

秋と冬の季節が混じる空に季節外れの大輪が咲き誇っていた。





END.

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