第33章 無双学園生徒会執行部。『Summer vacation』
快晴。
突き刺すような日差しとそれを映しキラキラと光る海。
耳に届く、一定のリズムを刻む波の音。
まさに、夏です。
私は今、隆景くんのお父さんが所有する別荘にお邪魔しています。
「こんなこと、学校の女の子にバレたら八つ裂きにされそう…」
「八つ裂きは怖いですね」
「…!隆景くん」
「あれ以来…被害はないですか?」
「え?あぁ、うん大丈夫だよ」
三年生の先輩達に呼び出されて以来、私に対しての嫌がらせの類いはピタリとなくなった。
三成先輩にバレた事が想像よりもきいているらしい。
あの日の事を思い出して最後に三成先輩の胸で泣いた記憶に辿り着く。
綺麗な顔が間近に迫って、あの時もし豊久くんが来なかったら…。
「」
「////!!」
「顔が真っ赤です」
「え?え?!ううん!あ、暑いから!かな?!」
悟られたくなくて誤魔化そうとしたけれどこの人にそれは通用しない。
「たたたた隆景くん…!?」
男の人の手とは思えない白く滑らかな彼の手が私の頬を滑る。
「嫌ですね…別の人を想って顔を赤くするなんて」
「…んっ」
頬を撫でていた指が不意に唇に触れる。
恥ずかしくて顔から火が出そうだ。
「今…顔が赤いのは私のせいですか?」
「あ、当たり前でしょ…!///」
唇にある彼の手を離す様に顔を背け自分の手で顔を覆う。
顔は熱いのに、手の平は緊張で冷たい。
隆景くんをキッと睨むと彼は何故かにっこりと笑い満足そうだった。
「なら許してあげます」
クスクスと笑って私の頭をポンと叩いた。
くそう、今日も爽やかに花飛ばしてますね…!
女子のはずの自分より花のある隆景くん。
悔しいと言うより羨ましい。。。
「せんぱーいっ!海!行こう!!」
別荘の二階にいた私達の元に届いた元気な声。
「行きましょう」
「…うん」
海、と言うフレーズに少し憂鬱を感じながらも腹を括って一階から呼ぶ豊久くんの元へとむかった。