第32章 無双学園生徒会執行部。『August』(逆ハー)
う、海…?
皆でって、まさかこのメンバーで…?
「隆景、君の別荘を使わせて貰えないだろうか?」
「はい、父に聞いてみますがおそらく使えると思いますよ」
「べ、別荘…?」
「移動は飛行機か?ならば俺が手配しておく」
「ちょ、え、三成先輩……?」
「先輩は浮き輪使う?!買ってくる!俺!」
「浮き輪って……」
会長の提案に直ぐ様順応している生徒会メンバーを他所に私はしどろもどろになるだけで、清正先輩に助けての視線を送る。
清正先輩はやれやれと溜め息をついて会長に声を掛けた。
「…信之、コイツが話に着いて行けてねぇ」
「ん?あぁ、すまない」
こちらを向いた会長バチッと目が合う。
「あの、海って……?」
「説明が足りなかったね、昨年の夏休みもそうなんだが生徒会で親睦を深める為に出掛けているんだ」
「昨年もうちの別荘を使っているんですよ、少し遠いですが良い所なのでも是非」
会長の後に隆景君が更に説明してくれて事情はのみ込めたけど、はいそうですかってあっさり承諾出来るほど海って言うハードルは低くない。
「…私は、あの遠慮させて頂きま「先輩」
「!?」
断ろうとした私の目に飛び込んで来たのは豊久君。
「先輩…行くよな?先輩いないとさみしい、俺」
「う…」
「夏の思い出一緒に作りたい…お願いっ!先輩っ!」
まるで捨て犬みたいな目で見つめられたら断る事に罪悪感が芽生えてしまう。
「先輩…」
「~~~っっ…わかりました!行きます!行かせていただきますっ!その目で見ないで!なんか心が痛い!」
「ホント!?やった!!会長、先輩行くって!」
「良かった、日程はまた連絡するから。三成、飛行機のチケットを頼む」
「わかった」
トントン拍子に話が進んでしまった。
これ…生徒会入る時もこんな感じだったような…。
「お前はホント押しに弱いな」
「清正先輩……」
「私も泣き落としをすれば良いのでしょうか」
「隆景君、やめて」
こうして生徒会メンバーでの海水浴が決定した。
(こうなったら出発までにまちょっとでも痩せなきゃ…!)
蝉の鳴く中、高く上った太陽を見つめて私は密かに決意を固めたのである。
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