第32章 無双学園生徒会執行部。『August』(逆ハー)
『半端な事はしたくないんです』
「………?夢、か…」
額にはじんわりと汗。
時計を確認した清正は枕元に置いてあったタオルを取りガシガシと顔を拭く。
時刻は4時を指していた。
「暑……」
窓の外が微かに明るくなっている。
随分と、日が昇るのも早くなった。
ふと、さきほどの夢を思い出す。
あれは昨年の春合気道部へとやってきた頃のだった。
1年は毎日朝稽古の前に道場の掃除から始まる。
他の1年がバレないように手を抜こうとする中、だけは絶対に手を抜こうとしなかった。
(で、聞いたらそう答えたんだったか…)
さも当たり前かのように。
半端は嫌だと彼女は言い放った。
正に合気道の精神を表す彼女に惹かれ、目で追う様になった。
悲しそうに伏せる瞳を守りたいと思ったし、弾けるように笑う笑顔を隣で見ていたいとも思った。
(あの時から俺は、)
もう1度横になる気にもなれず、清正は登校準備を始めた。
今は夏休み中だが、今日は生徒会の話し合いで集まる事になっている。
二学期は行事が多いのでそれに向けて生徒会は早めに動いておかなくてはならない。
少し早いとは思いつつも清正は家を出た。