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戦国夢想(戦国無双3、戦国無双4)

第29章 無双学園生徒会執行部。『May』(逆ハー)



「さんが来てから常に部屋が綺麗に保たれてるのでありがたいです」

「そう言ってもらえると私も嬉しいよ」


5月も半ばを過ぎると生徒会雑務の仕事がある生活にも慣れてくる。
合気道部の朝稽古に出て、今までより15分早く切り上げる。

その足で生徒会室へ向かい掃除をする。


それが私の日課になっていた。


今日はたまたま先客がいた。
2つ隣の特進クラスの小早川隆景君。
生徒会書記を務める彼は私がここに来た時には分厚い本を読んでいる真っ最中だった。

「おはよう」と簡単に挨拶を済ませ掃除に取り掛かるとじりじりと視線を背中に感じる。


「えっと…何?もしかして読書の邪魔だった?なら私休み時間にまた来るから…」

視線に耐えきれずそう口にすると小早川君はきょとんとした後にあの柔らかい笑みを見せた。

一瞬ドキリとしてしまう。

彼や私に何の気もなくたってその笑顔は反則だって思う。



「さんは手を抜かないんですね」

「え?」

「いつも真剣に掃除をしてくれているから」

「これが私の仕事だし…半端な事はしたくなくて」


うん?

そんなに驚く事を言ったかな…。
小早川君固まっちゃったよ……。


「それにちゃんと掃除しないと石田先輩にネチネチ言われそうだから」

「それもそうですね」


また、ふわりと笑う。
小早川君が笑うとそこだけ花が咲いたみたいにみえる。


「…お花、みたいだね」

「え?」

「え?…あ!!何でもないの!気にしないで…!」


思わず口に出てしまった言葉。
お、男の子に花はないだろう…!!


布巾を持ったままアタフタしているとサラリと髪を掬い上げられた。


「花は…貴女の方ですよ」

「へ………?」

「良い香りがします」

「……!!!///」

掬い上げられた一束の髪はそのまま彼の口元へ。
ちゅ、と音を立ててキスをされた。



「あ…!朝稽古の後にシャワーしたから、シャンプーかな…?あはは…」

笑って誤魔化してないと顔から火が出そう…!


「さん」

「…はいっ?!」

声が上擦る。
目が合った小早川君から言われたのは予想外の申し出だった。

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