第18章 18日目
ゆっくりめの朝食を終え、約束通りDSを取り出した。実は生まれてこの方、ゲームなんてしたことがない。AとかBとかもわからなかった私が二宮くんに貰ったゲームは簡単に出来たのには驚いた。さすが、マリオって凄い。
やってみるとみるみるうちにハマってしまった。
もはや二宮くんと一緒にいるのに、二宮くんを気にしてない自分がいて、今思うと少し反省。
「二宮くん、これね、マリオがこいつに勝てないよ。」
クリスマスにプレゼントしてくれた
赤いDSを二宮くんにそのまま丸投げする。
「あなたね、人事じゃないよ。マリオに思い入れなさすぎるよ。」
マリオに思い入れかあ、全身真っ赤のヒゲが生えた中年男性に初対面で思いを入れるほうが難しいです。精進します。
二宮くんはDSを受け取り暫く黙ると、数秒後には私に返す。
「はい、」
「え、どうやったの?」
それを教えてくれなきゃ意味がない。
この先こんなボス(今より何百倍も強いやつが)まだまだいっぱいいるんだから!
二宮くんは私を横目で見て
「教えてあげない。」とまた意地悪。
「意味ないよー、
一人で出来るようになりたいよー…」
「だめです。それじゃあ意味がない、」
「な、なんで!」
困ります、非常に困まりますよ。
二宮くんがいつもいてくれるなら別だけど…
そうじゃないもん。
だって、と口を開いた二宮くんが
「がわかんないっつって
俺を頼るのがとてつもなく可愛いから。」
といつもの余裕のある表情に
体がどんどん熱くなる。
「一人でマリオやらないでね?」
片方だけ口をあげて笑う二宮くんに黙って頷くしかできなかった。くそう。
「…ふふっ、朝の仕返し。」
やっぱり朝じゃないと二宮くんには勝てません。
あは、っとDSを投げて私に抱きつこうと向かってくる二宮くんが無邪気に笑う姿にあと2日、私の心臓がもつか、不安になりました。
『3日間の同棲生活 1日目』END.