第16章 16日目
「あれ?嬉しくなかった?」
「え!凄く嬉しいよ!!」
「…おっかしいなあ、マリオだったら裏技とか完璧だからまた惚れ直してくれるかなって下心がいけなかった?」
え、何、そんなこと考えたんですか?
「ほ、本当に嬉しいよ!ありがとう!いっぱい遊ぼうね?」
「ちゅーは?今…?」
あんなに可愛い顔した二宮くんから笑顔が消えて、目を開けたまま顔を近づける。近づく二宮くんの目が段々細くなり、それが直視できなくて私は目を瞑った。
わざとらしくチュ、と音を立ててキスをする二宮くんは凄く意地悪で、変態だ。
「…のその顔、好き。」
「え!」
「…俺、キスしてるとき目開けてるの知ってた?
の顔が可愛すぎて」
そう言って意地悪な顔で笑う。
「顔、赤いよ?」
私の頬を右手で触る。あ、熱いです…
視線を外さない二宮くんに耐えきれなくて
顔を両手で覆うと
右手に何か違和感を感じた。
違和感の感じた薬指を見ると、
そこにはキラっと光るダイヤの並んだリング。
いつの間にか私の左手にしっかりついている。
「………に、のみやくん、これ…」
「こっちがほんとのプレゼント、」
「…い、いつの間に…」
「ふふ、俺手品得意だから。」
「…ぴ、ピッタリ…っ」
「俺のこと何でも知ってるから。」
「あ、ありがっ…だいすきっ…」
「うん、それも知ってるから、」
ふふ、と笑った二宮くん。
それから二人でケーキを食べた。
私の買ってきた2つのケーキ。
「なんで2つあるの。」
「…二宮くんの分、」
「会う約束なんてしてないのに?」
「してないけど、一緒に食べたくて。」
「…食べれたね。」
「・・・うん。」
「来年もちゃんと2つ買ってきなさいよ。」
「…うん!」
こんな素敵なクリスマス、初めてだった。小学校を卒業して、久しくサンタクロースには会えてなかったけど、今年から私のサンタクロースは二宮くんです。
『 ケーキは一緒に食べるものです 』END.