第14章 14日目
「あ、先行ってて。俺トイレ。」
「わかりました。」
マネージャーに奥の席を指差し、そのまま右へ曲がって用をたしに行った。達筆な字で「男子」と書いてある手洗い場へ行くとスーツの男性が電話中だった。
トイレ前で電話かよ、と思いながら顔を下へ向け目線を合わせないようにした。
「待ってんぞ!いい加減早く来いよ。」
男性の口から出たの名前に足が止まる。
「あ、ああ、それはサンキュ。
でも俺がもたねえよ!
緊張すんだよ、久々会ったら。
なんかすげえ綺麗になってるし・・・。
ばっか、ノロケじゃねえわ!
気ぃ使ってくれたのはありがたいけど、
早く来い!ん、じゃあな。はい、はーい。」
ちょっと待って、
って、私のですか?
さっきまで目を合わせないようにしていたはずなのに、俺の視線はその人から動かない。あまりに熱い視線を送っていたせいか、そのスーツの男性と目が合ってしまった。
「・・・あ、すみません、邪魔でしたよね。」
襟足のない短髪の黒い髪に初対面の私に向けるその笑顔は爽やかすぎる。初めて会ったその人は出来る男の印象だった。
「あ、いえ」
「・・・え、あ、嵐の二宮さんですか?」
「そう、です。」