第14章 14日目
「!」
お昼休憩で外にランチをしに行く途中、会社を出てすぐのところで声を掛けられた。振り返ると、長身で紺色のスーツをパリッと着こなした短髪の男性がそこにいた。
「す、住久くん!」
1年前に転勤で他県に行ってしまった同期が何故か目の前にいる。「よ、」と右手をピースサインして、久しぶりに見る爽やかな笑顔。
「ななななんで!」
「いや、驚かせようと思って。相変わらずいい反応してんな。」
「え、や、久しぶり!なんで!」
何回言うの?と住久くんが笑う。
「こっちに戻ってこれるようになったの、俺。」
「嘘!やったじゃん!」
「嬉しい?」
「嬉しいよ~!」
「よし!飲みに連れてけ!皆呼べ!」
久しぶりに住久くんが戻ってきて、また皆が集まれる。住久くんは私にとって同期だけど、お兄さんみたいな頼れる存在で、私達の中でも中心になってくれる人だった。
ということで
「おかえりなさあ~い!」
「ただいま~!ってなんでだけなんだよ。」
そうです、皆呼んだんですが何故か仕事が終わらないから、とか出張中だから、とかで遅くなるそうです。タイミング悪くてすみません、力不足ですみません。
「ご、ごめんなさい」
「あはは、嘘嘘!二人きり嬉しいってば!落ち込むな!」
「少しだけ我慢して?たぶん・・・もう少しで来るから!」
そうやって昔みたく笑いあった。