第13章 13日目
これがとの初めての出会い。
ふと、を見ると眉間にしわを寄せて、一生懸命雑誌の特集を見ている。・・・なになに、「私に体験した運命の出会い」だって。そんな怖い顔して真剣に読むものなの、それ。
ふふ、と笑いが出る。
「は運命とか、信じるの?」
「え!?」
いきなり話しかけたことに驚いたのか、目を大きくして私を見る。
「俺との出会いも運命だって思ってるの?」
「・・・う、うん。」
うんだって。素直だな。私の視線を伺うように上目遣いでこっちを見る。違うの?って不安な顔が、たまらなく私好みです。
「運命なんかじゃないよ。」
「・・・」
「偶然なんかじゃないよ。」
「・・・わかったよ、もう、」
「うん、全然わかってない。」
に近づき目の前に座った。驚くはいつもの様に少し頬が赤く染まる。
「にのみや、くん?」
「俺が追いかけたの、のこと。」
「え?」
「運命なんか、そんなたまたまみたいな言葉じゃ片付けられないのよ、俺の気持ちは。」
そう、偶然なんかじゃない、運命なんかじゃない。初めて自分で掴みに行ったのがなんだ。
「二宮くん、よくわかりません。」
「うん、もう馬鹿には慣れた。」
「すぐ馬鹿って言う」
「、馬鹿=可愛いってことだよ。」
「そ、そうなの!?」
「うん、だから俺のこと可愛い可愛いって、馬鹿みたいに言ってんのよ?」
「・・・なんか馬鹿とか可愛いとかいっぱい出てきてよくわかんなくなってきた。」
「ふふっ・・・馬鹿だなあ。」
「・・・」
「おい、赤くなるな。」
こうやって誰かと一緒に過ごせる日が来るなんて、あの時は思ってもみなかった。こうやって誰かを愛しく思って笑える日が来るなんて思ってもみなかった。
運命なんて信じない。俺がを選んだんだ。だから運命なんて言わないでよ。あの時出会ったのが俺だから、選んでくれたんでしょ?
『 偶然じゃないよ 』END.