第13章 13日目
と初めて会ったのは、実はあの合コンの日では、ない。なんなら二人で話したのも初めてでは、ない。あの子忘れてんでしょうね。ベロベロだったから。
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「ね、和也聞いてる?」
「…ん?あ、なんだっけ?」
「ちょっと、久しぶりに会えたのにひどくない!?」
告白します。私はうるさい子がとても苦手です。そして久しぶりに会って永遠と終わりのない友達の愚痴を言う子は、もっと苦手です。つまり、この子は私の苦手なタイプです。
「言いにくいんだけど、別れよっか。」
「・・・何それ、全然言いにくくなさそう。」
「え、そう?言いにくいよ。悩み相談してくれてる最中に。」
「・・・そんな風に思ってないくせに。」
「そんなことないですよ。」
「・・・私のこと好きだった?」
「・・・うん。」
「嘘つき。帰る!最低!」
そう言った彼女は自分の飲んでいた烏龍茶を私にぶちまけて、すごい勢いで部屋から出て行った。なんて昼ドラな女なんだ。お陰でずぶ濡れじゃないか。
「・・・はあ」
またこれで一人だ。やっと一人だ。寂しさなのか、安心なのかよくわからないため息が出る。
私は誰かと一緒にいれない人間なんじゃないか、と時々不安になる時がある。このまま一生一人なんじゃないかって。前髪からポタポタとテーブルに落ちる雫がなんだかこの状況を深刻にさせる。
あーあ、風邪ひいたらどうすんの。
濡れた髪を拭くわけでもなく、ただボーッと座っていると、彼女が出て行ったはずの開いた扉から声が聞こえた。
「あ、れ?住久くん、」