第26章 26日目
ポケットに両手を突っ込み、下を向いて地面の石ころで遊ぶスーツ姿の彼。きっと衣装のまま来たんだろう。
港から見えるレインボーブリッジと観覧車が光る夜景は最高で、ロマンチックな雰囲気に拍車をかけるように船の汽笛が静かな海に響き渡る。
「…にの、みやくん」
周りに誰もいないことを確認して、少し離れたところで名前を呼び小走りで彼に近づくと、真っ暗なのに、なんとなく表情が読み取れた。
「、」
「・・・っ」
そんな顔、しないで。
なんで二宮くんがそんな切ない顔するの。
久しぶりに見るあなたに胸がギュッと締め付けられる。
「まだ、なんかあるの?」
「・・・、」
冷たい目で見つめられると、勝手にその目に追い詰められて、伝えたい言葉が出てこなかった。
私まだ、二宮くんに嫌われたくないって、その気持ちが先走ってうまく言葉が出てこない。