第26章 26日目
『…もしもし、』
「…あ、私です。」
電話に出てくれた二宮くんの声に嬉しい気持ちと、悲しい気持ちが複雑に入り交じる。
さすがにきついな。
この状況に耐え切れなくて単刀直入に申し出た。
「…最後にもう一度だけ、会ってくれませんか。」
私の最後のわがまま。
心の中でお願いお願い、と何度も祈った。
しばらく黙った二宮くんが口を開く。
『…1週間後の22時に5分しか時間が取れない。』
それは…会ってくれるってこと…?
それとも遠回しに断ってる…?
「…うん、」
どちらかわからなくて、そんな返事をしてしまった。
『……じゃあ来週22時、レインボーブリッジが見える港で。、それで本当に最後だから。』
と呼ばれたことに涙が出る。
バレないように感情を飲み込んだ。
「…う、ん。」
『終わったら、二度と連絡はしない。約束しよう。』
「うん…。」
これが本当に最後。
一週間後が二宮くんと最後の日。
辛いけど、それよりも
会えることの方が嬉しかった。