第21章 21日目
「……違わ、ない。」
「…え…」
「二宮くんと付き合ってる…」
「…嘘、だろ。」
嘘じゃ、ないよ、住久くん。嘘だったらこんなニュース、どうってことなかったのに。
「…ごめんね、ニュース見たの?」
「ああ…、昨日あの店で会ったし、時間帯的にも場所的にも…、お前写真撮られてんぞ。」
「…え?しゃ、しん?」
スポーツ紙には写真なんてなかった。あったのは二宮くんのライブ中の写真。私なんて、どこにも写ってなかったはず。
「今日発売の週刊雑誌だよ。俺これ見てお前だって気付いた。顔は写ってねえけど、昨日の格好だったから…」
そう言って丸め込まれた雑誌を私の前に出した。
中を見ると白黒写真で帽子を被った男性と、手を引かれる女性が写っていた。動くスピードが速いせいで、写真は少しブレてはいるが、帽子では隠れきれない鼻から下がハッキリ二宮くんだとわかるくらい綺麗に撮れた写真だった。
「……」
頭が真っ白になる。
ダメだ、こんなの、何が真実なんてもう関係ない。
これじゃあ二宮くんが…
嵐が…
私のせいで
白黒の二宮くんにポタっと滴が落ちた。
「……」
「…ごめんっごめんね住久く、ん…迷惑かけてごめんなさい…」
「…やめろよ!お前のせいじゃないから!あんな記事だって嘘だし、俺ら付き合ってないし、お前はあの時被害者だ!あんな記事に書かれた女じゃない!」
「ち、違う、私じゃなくてっ…二宮くんが二宮くんがっ…」
溢れる涙。何処にぶつけていいかわからない感情のコントロールがきかない。
お願いだから、
私のいちばん大切な人を
傷付けないで下さい。
『 あなたのいない生活が 』END.